先日、当社所有の山林土地の隣接地主との立合いがありました。隣接地のほとんどが測量済みで法務局にも測量図や公図が存在した。合計4人のうち1人だけが同意しない。それも部落の中でも知識人とか資産家とも言われる人だ。私共のほうは早く決めて同意書に判子を貰えばいいのだが・・・。境界に同意しない理由はもし認めると自分が以前から所有造成してある民宿用グランドが当社の土地にはみ出してたからだ。私共が所有する以前からグランドは作ってあった。土地単価が安いので、こちらは多少相手からの食い込みがあっても了解するつもりだった。しかし周囲の筆は実測図も公図もしっかりあって変更できないと土地家屋調査士は言う。坪単価1000円とか2000円とかの相場で、約10坪足らずの問題だ。理由もくそもあるもんか。以前から自分のグランドだ。権利があると抜かす。もし認めればグランドを造成し直し費用が大変だとも言う。山の中では土地家屋調査士と私と相手と3人ですでに3時間もやり取りしている。他の同意者は帰って頂いた。そこで考えた。公図訂正も認められなければ奥の手でいこう。土地が安いので、私はこう切り出した。
それならこの土地をただであげよう。その代わり分筆代の10万円は自分で払って下さいと。そしたら相手は驚いて本当!!ほんとにいいの!!少し間をおいて本当なら嬉しいけど、あとで何かひどい目にあうとか、へんなことないよね。と。
これで了解一件落着で判子を貰う。
つまり自分が他人の土地に進入していたことは認めるが、自分に不利にならないことなら合意するとのことだ。境界立合いのとき、家族の代表が現地に赴き、少しでも多く広く土地を増やすことを家族に誓って出てゆくのだ。
だから境界に接する所有者の言うままに言うことを聞いてくると、家族に向ける顔がないのだ。お前は何をやってきたのだ、と怒られるのが落ちだ。少しでも多くしたよと帰ってくると、よくやったと乾杯だ。この地域では公図と現場が全く異なる地域が多々あり、終戦後、国から払い下げられた山林を公図どおりに耕さなかったり、開墾しなったり、部落の人達だけで勝手に分けて利用使用したりして60年以上も経ってしまった。
境界立合い、分筆の際の同意はこのあたりの説明をしたりして、大変な粘り強い作業が要求される。
個人ではなく家中心に続いた日本人の意識では、先祖から引き継いだ財産は自分の代で少しでも減らさない、一坪でも増やして次の世代に引き渡すつまりワンポイントリリーフなのだ。だから土地の値上がりの資産運用だの全く関係なく価値判断がなされるのだ。
境界立合い、田舎の決まり方
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