中国三峡ダムと日本八ツ場ダムの比較

過日、中国重慶の友人を訪ねた。重慶は人口3000万人の大都市で直轄都市でもある。
重慶からバスで2時間ほど終点洪湖で下車。徒歩20分、霞ヶ浦ぐらいの大きさの湖の波止場につく。小雨の中、かなり寒い。50人乗りの鉄のぼろ船が2台待機。
小学生の低学年児童かそれぞれの船に30人ずつ程乗って出発を待つ。この日は金曜日の午後で湖周辺の居住の子供たちは毎日通うのが大変なので週末のみに帰宅であとは寮に入っているとのこと。今日はうれしい自宅帰りだ。友人の故郷までの約40分あまりの間3箇所ほど湖岸に接岸の1戸~3戸の部落に少しずつ下船する。
接岸といっても何も波止場があるわけでなく、船のへさきだけを土手にぶつけるように陸地に船体の一部を突っ込むという感じ。接岸するかしないうちに元気に子供たちは飛び降りる。
1番目でほとんどの子供や少し大人が降り2番目3番目は3人と1人と少なくなりこの1人の女の子が飛び降りると実母らしき一人と犬一匹の出迎えだ。
犬は大喜びとこの子に飛びつくようにじゃれ尻尾をふる。印象的だ。最後に私達だけとなり小雨の中下船、目の前の小高い道を200mほどのところに2件の家がありその1軒が友人の実家である。半農半漁村で川魚のまぶなを釣って市場へ売りに行くのだそうだ。
電気はきているが燃料はまきのみ、風呂はなし、手ぬぐいタオルのみで洗面所で顔や手を洗う毎日だ。田んぼもあり米がとれ、にわとり15匹、犬1匹、私の同い年の夫婦と孫2人それにアヒル2羽、豚親子で16匹ほとんど自給自足に近い生活だ。
久しぶりに帰った友人は南の広州からの帰郷ですからその晩は60℃の白酒にて大歓迎、外の寒さも苦にならずこの家の1室に泊めてもらう。
2日目、もちろん商店街もコンビにもない。日曜日、主人の手こき船で1時間ほどで町に着く。小雨の中湖面を渡る風は冷たいが、古いテレビが故障のため主人が船からおりると竹のかごに入れてテレビを担ぎ私達も歩き出す。30分ほど歩き町につくが本日月1回の文字通り1ヶ月に1度の市だ。
小雨の中テントを道両側に2㌔程並ぶ。衣類、果物、肉、魚(ほとんど川魚)、電気製品、野菜などスーパーの品目全て並ぶが清潔さや品質などちょっと手が出ない。せいぜいみかん、マンゴー、バナナぐらいか。
3日間滞在し重慶より三峡下りの船に乗る。二等観光付一人900元(12,000円)3泊
一部屋4つのベッド 日本の山小屋より質が悪い。素人大工が余った木材で作ったようで天井が低く硬いベッドだ。トイレもシャワー室もあるが便器の質が悪いので臭いが逆流してくる。食事は時々下船して観光地の売店のうどん、饅頭など一皿一人3元~5元(40円~70円) 快適な旅とは到底言えないが、カラオケ、麻雀などやり放題で中国人の生活様式などよく観察できた。
三峡下りは揚子江を船で下ってみると第一印象は日本の中ぐらいの大きさの湖がそれぞれつながっていると言う程馬鹿でかい川だ。両側が狭まり切り立っている箇所がそれぞれ名所の三峡となるのです。
 さて、4日目の昼終点の宣昌という町に到着。大きな町だが三峡ダムの町だ。
世界一のプロジェクトだが、日本人の私はダムは見慣れているのであまり感動しない。但しパナマ運河と同じ階段式の航路を大きな船が通過するのは初めて見た。さてどれくらいこのダムが大きいかを今日本で中止となり話題の群馬県の八ツ場ダムと比較してみましょう。
                            比較八ツ場ダム1として
三峡ダム                             八ツ場ダム   
発電力量  1820万キロワット        1555    :     1
ダム貯水水位の高さ 175m         1.5     :     1
洪水防止の貯水量 22,150,000,000㎥    2461    :     1 
貯水総量     39,300,000,000㎥     367    :     1
ダム建設に伴う移住民  113万人      941    :    1
通過船舶 1万トン                10,000    :     1
総工費       2兆6000億円       5.65    :    1
満水時の距離     650km        100    :    1
後遺症の懸念
イ.移転住民に対する不適当な対応、強制
ロ.自然環境の大いなる支障
ハ.ダム建設に伴う川床の土砂が滞留し重慶の港が浅くなり大型船が利用できなくなる
ニ.戦争になった時敵の攻撃ポイントとなり爆破されると中流以下上海まで水浸しになり大損害、戦略上ウィークポイントとなる

八ツ場ダム
発電力量   1.17 万キロワット
ダム貯水水位の高さ  116m
洪水防止の貯水量   9,000,000㎥
貯水総量        107,500,000㎥
ダム建設に伴う移住民    1200人
通過船舶          0
総工費         4600億円
満水時の距離      6.5km
後遺症の懸念  草津温泉の廃水、鉱山跡にて飲料水の不適

実際現地に行ってみると、貯水他ダムの為の湖という概念は吹き飛び元々あった何十という湖が連続して上流からダムまで続きその上に現在2010年3月ダム最低部より160mの高さまで貯水しつつありますが、さらにあと15m合計175mの高さまで湖の上にまた水がたまるという感覚です。比較ポイントの距離を八ツ場ダムと比較するとわかるように東京から静岡県まで続く細長い湖という感覚です。