友人 右京丸御夫妻への返信

拝啓 師走のみぎり右京丸家におかれましてはご健勝の段真心込めましてお慶び申し上げます。今般丁重なるお便り頂きまして恐縮至極に存じ上げます。
過日の晩餐会でご主人様は皇族皇室の多くを輩出している有名大学教授としてご活躍していたそうな、ご夫人は皇族皇室のご子息の家庭教師やピアノの御指導をなされていたとこのこと、いささか驚いていた次第です。気さくな人柄、偉ぶらない庶民的な雰囲気でいい友人に出会ったと妻共々喜んでおりましたが、今までの経歴をはじめてお伺い致しましていささかびっくり致しました。失礼ながらこれからのお付き合いが長続きするよう心からお願いいたしたく思っております。食事の後のカラオケではカラオケが始めての奥様も元々音感にすぐれていたのですぐに慣れ、持前の学習意欲をすぐに発揮し、クラシックから艶歌はてまた民謡までばっちりマスター脅威を感じるほどでした。外国生活の長いご主人も艶歌大好き人間で特に美空ひばりの歌がお得意で感動させられました。又、ご主人には教え子の鳩山由紀夫、邦夫兄弟の天才的な優秀成績のことを伺い、なるほどなるほどと頷きながら興味津々と聞いておりました。
一方私共夫妻は相変わらず平々凡々の毎日ですが、一昨日の金曜日の夜より近所に住む孫達4人が日曜日の夜までしっかり遊んでゆき、てんやわんや夕食が終わり一族郎党が帰って静寂は訪れたのですが、同時に疲れがどっと出て女房は早々と床についてしまいました。
寝つきも早く鼻福提灯にて世界平和を貪りつつ、いびき、歯軋り、寝言、寝放屁(ねべ)のフルコース合唱、早くも元気回復しそうです。
方や私亭主は飲みすぎ、過労死寸前、レバーを病み禁酒1ヶ月のドクターストップのありさま、誠に心苦しい師走となっております。それでも女房殿が確実に回復する明日からは仕事の他家事手伝いの毎日となるのは必死で、子守、30キロの米の精米、包丁研ぎ、猫の額ほどの庭の掃除と鉢植え、アイロン掛け、洗濯物取込云々家事一般の業務に励まざるを得ません。もうそろそろ楽しい老後、やりたいことがいっぱいあるのにまだまだ仕事と家事の毎日です。
御心配して頂いた風邪など昔からの譬え通り馬鹿は皆同じで当社当家においては揃って心配後無用でございます。
この期に及んでは何も深く物事を考えずに漸く白い帽子を被った上信越の山々を眺め鍋でもつつきながら加えて美しい奥様も同席頂き楽しいひとときを過ごしたいと日々思うこの頃でございます。
次回のお目にかかるのを楽しみにしていています。              敬具

                        師走 安藤