日本の主張と中国の言い分
今回の領土問題の火付け役は石原慎太郎前都知事です。この問題は中国の鄧小平時代に双方後世に宿題として残しましょうと日中両国で合意したものでした。この問題の解決方法は3つしかありません。ひとつは戦争をして勝つこと。2つ目は鄧小平の提案通り双方触らない。3つ目は共同利用です。慎太郎はこれほどまで中国が本気で怒るとは予想しなかったのでしょう。日中の経済的損失は莫大です。そして彼は責任を取りません。いつもの人気取りだったのでしょう。目立ちたがり屋の彼は、東京オリンピックの開催など次々と目立つものを見つけては都知事という立場を利用して個人の人気を集める。しかし、今回中国と戦争する気持ちはあるはずもない。戦争すれば経済打撃は天文学的数字になるし多くの人間が死ぬ。強気に「一発かましたれ!!」などと無責任に言う極右の人達は多いが、本当の戦争になれば引くに引けなくなり2000万人を東南アジア・中国で殺し日本でも300万人の人間が死んだのは経験済みです。懲りない面々、他人事の戦争、自分の家族は死なない戦争は好きですね。勇ましい発言する政治家などは決まって家族を戦場になど行かせないし、逃げたりして責任を取りません。日露戦争当時、乃木将軍の息子が旅順で戦死したことと今の政治屋と比較してみればいい。
このことを逆手にとってヨーロッパのある政治家が提案したのは、“戦争を始めた内閣の総理大臣とトップ閣僚の子供達のうち、18歳以上の男子は全員が1週間以内に最前線に行くという法律”を作れというものでした。これならなるほど戦争はしないだろう。大体勇ましい戦争発言をする人は他人事なんだよね。戦争に負けた日本の指導者の中にはマッカーサー司令官に命乞いをした人もいると聞いたこともある。比較してみるのはロシアとの北方領土について慎太郎は発言したり船を近づけたりの実力行使はしたか。強い者にはダンマリ弱い者には威張るうだつの上がらない能無しの幹部社員をよく見かけるが、人気取りも極まれりですね。
この尖閣と韓国の竹島問題が生じたことは日本の国力が弱まってきたのが一つの原因と考えます。水槽の中の魚のうち一匹が弱ってくると、他の仲間が集団で襲ってきて目ん玉を突っつき始め、終には殺して跡形残らず食べてしまうのが似ている現象です。日本は外交が下手くそでもあり国力が衰退してきている。そして日本の言分・主張は固有の領土一点張り。韓国・中国の主張が何も聞こえて来ないのはマスコミの無責任と勇気なし。もし相手の言分を聞けば譲歩したとみられ、右翼が殴り込みをかけてNHKや民放局を襲撃するやもしれず、経営陣は怖くて何も言えないのだろう。双方が固有の領土を主張すれば戦争でもするしかなくなってしまう。
ある雑誌で中国側の主張を見つけた。中国明時代の1403年、当時の琉球王国との交易で中国名“魚釣島”を発見し琉球人も尖閣列島を中国領土と認めていたことが琉球録という書物に出ていたという。その後も琉球王国との交易上、海上境界は尖閣列島の東側であると双方が認め、ずうっとこの列島を管轄していた。その証拠は文書として、例えば1562年明代に籌海図編という書物に示されていると・・・。それが1879年に日本が琉球を併合すると日本は沖縄県の一部だと主張し始めたが、まだ清国の力が強かったため占領は中止した。その後、日清戦争で勝った日本は尖閣列島で植民地統治を行ってきた。現在もアメリカが中立の立場をとっているのをよいことに、ソ連が北方領土をドサクサに紛れて占領した火事場泥棒と日本が主張するのと同じだと中国は主張しているのだ。これまでの主張も全て実名の書物があり世界の外交上全て認められているとのこと。これに対して日本側の主張は見えてこないし、林子平が江戸時代の1785年に著した三国通覧図説には、色分けで中国大陸と同じ色で塗られていたと中国側は言う。
主張はするが人が住みついていないし発見した方が勝ちとでも言いたい中国だが、これも怪しい。ドサクサにまぎれて富国強兵政策で台湾などが日本に割譲された時は日本の領土だったが、ここでも正しい戦争ではなく正しくない不法の侵略戦争だから返すのは当然と中国は主張している。日本の正しくない侵略戦争との主張は正しいが、こうなるとどっちもどっちと考えるしかなく、国家としては固有の領土とメンツ上主張しかなく、双方このまま突き進めば戦争になってしまう。この単純な声明はもういい。喧嘩両成敗、つまり共同利用という古来の知恵で運用するなどの数々の良い考えが双方に浮かぶまでは議論するしかないのです。これが同じ国のなか例えば島根県と山口県の争いであれば話し合いがつかない場合は裁判となるが、国と国との国際裁判では出廷しなくても負けても強制力がないので限界ですが、つまり武力で強いほうの支配となります。つまり国家というものが人間の平和を害するようになってしまうのです。国家は万能ではなくなったのです。どうもこの島は誰のものでもないようですね。