旅は日常性からの脱却です。何でも見てやろうという好奇の目が冴えにさえ渡り、真実を見透かします。
先日孫の高校卒業旅行記念に中国広東省開平という田舎町へ行ってきました。
香港在住の友人(中国人)も通訳と案内係りをかねて同行した。
19歳という大人の入り口に達した人間が、何を感じるか、何が起きるか、どうして自分の感覚と違うのか、どうして同じ顔をしているのに違う言葉を話すのか、同じ漢字を全く異なる読み方で話とはどういうことなのか、どうして、何故ばかり感じる旅となるか。時々本人の顔を盗み見しながらの道中記です。
香港から電車で中国との国境羅湖で下車、この駅は中国深圳と香港の出入国する人だけ利用するので終点で降りると自動的に香港を出国することになります。徒歩で歩いて出国し、イミグレーションで手続きを済ませると、すぐ中国入国の手続きに入り、深圳駅に辿り着く。この間春節が終わったといえ、人、人、人ばかりその数に圧倒されるばかりです。お金も中国に入るとほとんど香港では使えないので、中国銀行で両替だ。そしてすぐまた広州駅への切符を買い、列車に乗る。終点で乗り換え、地下鉄で反対下車。バスに乗り換え2時間で開平市につく。中国の典型的な田舎町で公共バスセンターには大勢の人が乗ったり降りたり、客引き、物売り。ここでさらに私の友人シュウ夫妻も合流する。地下鉄からバスセンターまでの横断歩道には顔を上半身が焼けただれた物乞いに出くわす。弁当箱に1元入れる。
その騒音、ここでも圧倒される。4時ごろなのでまずは泊まるところは香港温泉という昨年出来た温泉センターに決めてタクシーをチャーターする。80元(日本円1300円)50km。
温泉に着くと日本の温泉と異なり、広大な土地に水着をつけて十数ほどなる温泉プールや温泉ジャクジーにて体をほぐしたり泳いだりして過ごす。
部屋を取りとりあえず夕食に出かける。民家が数件ある小さな町のレストランに入る。
レストランと言っても半分ボロ家で半分テントの下に古い椅子とテーブルがあるのみ。
友人のシュウさんが注文してビールや中国焼酎(白酒)で乾杯し、ふと気がつくと野良犬らしき5~6匹、子犬1匹を5,6匹がいじめている様子。きゃんきゃん犬が鳴いている。首輪もリードもなし。宴たけなわになり、隣のレストランをふと見ると檻の中に猫と犬が別々に入れられている。犬も全く先ほどの野良犬と全く同じ茶褐色の駄犬だ。
中国では犬の肉は美味しい順は、赤、黒、花(ブチのこと)と聞いていたので、聞いてみると売物ですぐ料理をするから買えという。孫と日本の友人は言葉が通じないので、そっと中国の友人に伝え、犬肉を注文するよう頼んだ。この店、粗末な木の看板に「即日猫狗」とあり、とりたて新鮮な犬と猫肉ありますという意味だったのです。
つまり殺してすぐ新鮮な肉を出しますよという意味でした。
そのうち料理と同時に甘辛く炒めた犬肉らしきものが出されてきたので、わいわい言いながら皆で食べた。少し喉がへばりつくような又いわゆる寝ぐさい香が特徴の犬肉に私はすぐ気がついた。結構美味しいので白酒を飲みながら食べた。大方の料理を食べ終わる頃、「この肉はなーんだ。」と犬肉をさして孫に聞くと、怪訝そうな顔で「もしかしたら犬?」と聞くのでそうだと答えた。やっぱりそうかと言ってでもうまかったよしかしもういらない、とそれ以降手とつけなかった。
そのうちこの店の40歳ぐらいの女主人が出てきて、うちの娘は14歳で美人だから是非会わせてやってくれ、どうやら少しイケメンの孫が気に入ったようで、付き合わせたいらしい。ところが孫は通訳の方法が悪いせいかこのおばさんが付き合いたいと思ったらしく、即座にノーのジェスチャー。残念だと思ってあとで聞くと、この誤解がとけて娘さんなら会ってもいいよだと、もう遅すぎると。
その晩温泉ホテルに泊まり、プールで遊ぶ。
翌日いよいよ念願の開平市のディアロウ見学です。迎えの車に乗り、6階建てのディアロウに着くと、所有者が1階から案内してくれた。
そもそもこの問題のディアロウはだいぶ前にこの地域から世界中に特にアメリカ、カナダ、オーストラリアへ移民した。