先日、中国の友人の紹介で中国国内で分譲マンション、オフィスビルなどを手がけるディベロッパーの社長が訪ねてきた。六本木ヒルズやミッドタウンなど最新の都内の建物などを見学した後自分が現在手がけている中国深圳での大がかりな高層ビル開発事業に使用したい部材建材を視察に来た。私に案内しろと。
何を目的にを具体的に確認するために、泊まっている日比谷のペニンシュラホテルを訪問した。日本に9年いる一ツ橋大学院の女子留学生が通訳として上海出身の陸さん、40代後半の張社長に会う。
あらかじめ必要なテナントが入る玄関ドアやウィンドウ、階段出入口や案内版など最新デザインの物が欲しいらしい。来日する2日前に突然の連絡ですからこちらもサッシュメーカーなどに問い合わせ見本市、展示物を探すのに汗をかいていた。それでも当日まで4~5社の資料を取り寄せメーカーのアポイントメントも済ませた。
会って話の内容を確認すると、昨日ミッドタウン、六本木ヒルズ、赤坂サカスなどを見学してきて日本のデザインと技術はすばらしい。現在自分の開発事業現物にて是非同じものを使用したいとのこと。
年商約400億(日本円)、現在の深圳の総事業費は約200億から300億だ。全体像のパーツをみると一部テナントビル、分譲住宅ビルで外装中、テナントビルに日本のデザインと部材を使いたいとのこと。
驚くことに既に全体の建物のうちスケルトンまで出来上がっているではないか。
ここで日中の建築方法の違い、慣習の違いをまざまざと見せつけられる。設計図などはきちんとあるのかしらとも言いたくなる。
とりあえずミッドタウンに3人で行き、張社長自身お気に入りの場所数十個所を見せられる。本人がデジカメであたりかまわずパチパチと写す。通訳にあまり大っぴらにやるなと注意するが伝えない。言っても聞かないからだろう。時間と金と頭脳が費やされた場所の作り方だから無断で写すことをやめた方がいいというとようやく通訳どうりにした。
そのあとあらかじめアポイント済のサッシュメーカーに行く。
説明を受けるがどうもしっくりこない。通訳の女性で建築内容にはうといためもあるし中国と日本の習慣の違いが頻繁にあらわれてくる。
テナント大型高級ビルは設計士とゼネコンがイニシアチブをとり、ほとんどの部材がオリジナルにその場所のために洗練された設計士や経験豊かなゼネコンの社員たちが日本の気候風土や耐震性、雨対策などを考えて時間をかけみがかれた感性を更にみがきその場所だけの世界を作り出すのです。しかし、中国ではその設計士の役割と立場がきくところによると、あいまいでオーナー、施主の力が圧倒的に強いらしい。更にこのサッシュメーカーの事務所で手順などを説明してもどうもこの社長理解できなくて、ミッドタウンのつくりをその気にいった部分を切り取って船に乗せそのまま運べないかのような希望をのたまうのだ。
この気に入った出入口やウィンドウをそのままどこかで売っていないかなどと希望しているようだった。
全部注文製作などといってもわからないようだ。設計図、全体図、パーツなどからどういう建物がいいか提案しますとのメーカー側の説明も理解できないのです。ミッドタウン建設に参加したメーカーなのでどんな対応でも出来ますとのことも理解できないのです。
そのメーカーの展示場には個人住宅用のモデルケースしかないのでどうしてミッドタウンの様な素晴らしいものがここにはないのかと不満そう。
既に出来上がっているビルのスケルトンの後に部材を探していることにここのアルミサッシュメーカーも驚くことしきり。私も通訳と社長に限界を感じてサッシュメーカーの訪問は2件でやめた。海外に強い某サッシュメーカーの中国北京事務所の連絡場所を教えて別れた。